役所における敬語や丁寧語の使い方

 初めて議会対応をした時、言葉遣いで注意しなければならないことのひとつとして、議員が
「先ほど申し上げましたとおり」
と質問してきた際には、
「〇〇議員が申されたように」
と受けず、
「〇〇議員がおっしゃったように」
と受けなさい、ということを上司に指導されたことがありました。


 相手がへりくだっている場面でこちらも相手を持ち上げることになり、両方とも下手に出まくっている状況となってしまうかららしいです。
『相手が市長の提案に対して議員が意見する場面で、一般職員がその意見を誉めるってのはおかしいから』
ということであった。
こういう場合には、状況に応じて、「おっしゃいました」や、「言われました」や「指摘されました」と受けるのがよいとのことでした。



確かに、ちょっと考えてみれば、殿様が家来を誉めるときに、
「おぬしよくぞ申した」といいますよね。
これは、相手が自分より身分が低い場面で、相手の言ったことが正しいことで賞賛に値する場面です。
確かに市長が答弁で
「〇〇議員の申すところの」
という言い回しは、市長より経験年数の低い議員が出した意見に対して使う場面があります。


ただ、「申される」は「言う」の丁寧語に分類される「申す」に、尊敬の「れる」が付いた丁寧な尊敬語とする事例があり、間違いとはいえないこともあります。


ベテラン議員が市長の方針に対して賛同する際に、
「市長の、申されました〇〇について」
という場面です。この場合では市長は自分(ベテラン議員)より年下(もしくは経験が浅い)ではあるが、発言者よりも身分は高いから、発言に対して丁寧語を使ってさらにへりくだって賞賛の意を示しているわけです。



自分の身に置き方場合に、一番正しい使い方として考えられるのは、課長が部下全員を焼肉に連れて行くと発言したら、
「課長よくぞ申されました。」
と課内一同で一斉に声を上げる、という例です。実例を体験していないので、申されるの最適な使い方と胸を晴れないのが少し残念ですけど。



そうそう、ひさしぶりにとなりの席の人の話です。
今日、総務部長から電話がかかってきていました。
内容は、地元要望で行う工事について、建設部門で適当な補助制度がないから教育部門で適当な補助制度で対応可能かどうか地元と話をしなさいという指示を先日その人にしていました。部長かの電話は、その結果について聞きたい、ということでした。

その人は、電話先の部長がなにか言うたびに
「部長の申されました点について」
と答えていましたが、これは相当格好悪いです。


部長は腹の底は役所で対応することが難しい要望(内容も乏しい)を押し付けようとしている(正直やりたくないと考えている)んですよ。


「部長の申されるとおりに、地元に対してさっそく当方の補助制度を説明させていただきましたところ、地元負担額に不満の様子がありましたが同意いただけたと思います」
なんて答えた直後にゃ、となりで聞いていた自分は青ざめましたもん。


普通の日本語に翻訳して場面を再現すると、こういう感じです。
『内容薄いけど、地元に話をしてこの程度でいいか確認しておけ』という部長の思惑。
『部長の素晴らしい考えで自分の担当する補助金を紹介いただきありがとうございます。さっそく地元に話をしたんですが、部長からの話という説明をしたんですが、地元住民に不満の声はありましたが、部長のおかげをもちまして同意していただけたと思います」というその人の回答。


てめぇ、状況わかってんのか!
と、数十分後に上に電話が・・・。

そりゃそうでしょ。
部長は役所のなかで要望が実現可能な制度は教育部門が所管している制度なんだけど、この程度は地元に負担が生じるので了解してもらえるか教育部門で説明しろ、という指示だったのに、部長の指示で教育部門の制度を適用させるけど地元負担出してほしいって部長の名前出して説明したら地元が難色示しだした、ってことなんだもん。


『丁寧語の使い方は、間違えるとただでさえ困難な事業を混乱の事業に陥れる』というのが今回の教訓♪