史跡指定された土地の取得に関して

日曜の午後、昼食がほどよく消化された頃、偶然茨城県牛久市の市指定史跡小坂城跡を取り上げたこの番組を見ました。
大抵は他局の番組を見ているですが、CMの間にチャンネルをザッピングしたまま、結局番組終了まで見ました。

住民運動まで起こっている牛久市林地購入問題。
小坂城跡…その場所を調べてみると「市街化調整区域」であり「埋蔵文化財包蔵地の指定」を受けた土地なのです。その林地を申請できるという可能性だけで「宅地見込み地」として評価してもいいのでしょうか。
市職員は「文化財保護法の所定の手続きを行えば、開発することは可能。今後宅地として開発される可能性も排除できない」と私たちの取材に答えています。
確かに調整区域も文化財指定も手続きを行えば網が外れ、開発は可能になるでしょう。
しかし、牛久市は歴史的財産保全を目的として「小坂城址公園整備事業」を計画し、国の補助金などを使い整備事業をはじめたのです。「宅地として開発…」ということは、史跡的財産を壊し造成するということです。「守る」のでしょうか「壊す」のでしょうか?疑念を抱く現場でした。

TBS「噂の東京マガジン」山城跡の不透明な売買!血税返せ住民激怒 TBS「噂の東京マガジン」

番組HPの紹介文は突っ込みどころ満載なんですが、史跡の取り扱いに関することだけ指摘します。

「市街化調整区域」であり「埋蔵文化財包蔵地の指定」を受けた土地なのです。その林地を申請できるという可能性だけで「宅地見込み地」として評価してもいいのでしょうか。

『林地』ではなく『隣地』の誤字ではないか、という疑いもありますが、山林だろうが、農地だろうが文化財包蔵地として登録されただけでは『宅地見込地』として扱うことはありません。
宅地見込地とは、農地地域、林地地域等から宅地地域へと転換しつつある地域内にある土地をいいます。市街化調整区域に指定されている箇所であれば、市街化を抑制すべき区域として、開発行為は原則として抑制され、都市施設の整備も原則*1として行われないのです。つまり、新たに建築物を建てたり、増築することが出来ないするには規制がある地域*2だということを取材前・取材後に理解できていれば、こういう文章は書かないと思うのですが。

確かに調整区域も文化財指定も手続きを行えば網が外れ、開発は可能になるでしょう。

史跡に指定されているので、開発はほぼ不可能です。

歴史ある場所を後世に残すために、史跡に指定して土地に対する開発に制限をかけます。しかし、所有者は制限を受けることから、財産権の制限に対する補償的措置として公有化を行います。個人の土地を公有化することは、地権者が誰ということを考えて購入するものではなく、その土地の意義や目的を考えて購入するものです。ですので、地権者が市長の親族であれ、史跡として保存が必要な箇所であれば、堂々と主張すればよいと思います。

ただ、元所有者から、不動産会社、親族の方に至るまでの土地取得の経緯に関して、いくつかのサイトや資料をみると、複雑な事情があるようですね。ネット上の情報ですので、詳しい経緯や実情はわかりませんので、こちらは割愛します。

*1:区域の変更は都市計画法をはじめとする関係法令等に従って進められるので、簡単にできるものではない

*2:市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域