長野市議会と議長の判断について

時々ブログを拝見させていただいている、長野県長野市議会の小泉一真議員のブログで、気になる記事を見つけました。記事中、議場の状況等については割愛して、発言が議事録から削除されたことについてのみ、コメントしてみます。
本来なら、小泉一真議員のブログのコメント欄に投稿すべきところですが、記事が長文となったため、今回はトラックバック前提の日記とさせていただきます。

現段階(2012/3/21)では長野市議会の会議録も、当日の議会中継の録画も公開されていないので、誤った先入観が混じっているかもしれませんので、ご容赦を。

議場秩序びん乱罪の栄誉―小泉に議会が総スカン

小泉の、次の発言が、議会の意思により、議事録から削除取り消された。昨日行われた、長野市24年度予算原案採決に先立つ、討論中の発言である。

「私自身は、その問題提起をこめて、この後、退席し棄権させていただきますが、行政と議会の今後の再生を目指す意味で、賛成を表明させていただきます」
(以下、略)

2012/3/21 13:00の投稿議場秩序びん乱罪の栄誉その2−新聞の見出しになった「小泉」で小泉さん本人が語る状況とあわせて読む限り、理事側(長野市)が提案した議案に対し、小泉一真議員は賛成討論を行うと通告したものの、「退席し棄権させていただく」と発言し、採決に加わらなかったという状況の様です。


賛成討論の最中に棄権の意思を表明することが秩序を乱すことに繋がるのか

小泉一真議員は、議案に賛成という立場で賛成討論を通告しています。
しかし、討論中に、議案には賛成するが、議案の採決は退席し棄権するという発言をしました。
採決では、賛成の意思を示さず棄権していることから、『討論は賛成の立場から行われなかったのではないか』という疑義が生じたわけです。

長野市議会会議規則

(発言の通告及び順序)
第51条 会議において発言しようとする者は、あらかじめ議長に発言通告書を提出しなければならない。ただし、議事進行、一身上の弁明等については、この限りでない。
2 発言通告書には、質疑についてはその要旨、討論については反対又は賛成の別を記載しなければならない。

規則には、質疑はその要旨、討論は反対、賛成の別を記載しなければならないとあります。
通告内容と違う質疑を行っていることから、規則に違反し、秩序を乱したと指摘されるのもやむを得ないと思います。


長野市議会の対応はどうであったか

原案に反対する議員の方たちからすれば、賛成と棄権ふたつの意思で小泉一真議員が討論を行ったならば、質疑そのものが成立していないと指摘すべきところです。
原案に賛成する議員の方たちからすれば、賛成のみの意思で討論を行っていない以上、再度討論を行い、採決するべき状況になっています。
読売新聞の記事から推察すると、反対派議員から議場の秩序を乱すものとして議会運営委員会に諮ることとなったと書かれていますが、賛成派としても困った状況に陥ったと思います。

議会運営上は、再度討論を行った上で採決するべきところです。
しかし、採決のやり直しには二つの現実的な壁があります。
ひとつ目は、再採決を実施しても結果がひっくり返らない状況であれば、再採決そのものを実施する無意味がないこと。
ふたつ目は、再度の採決を行うことにより、議員の費用弁償が生じること。

では、議会は再採決を行わなければならないのでしょうか。


長野市議会のとった対応と個人的所感

一議員の行動により、討論不成立のため採決をやり直すとなれば、長野市民の理解は得にくいものです。
議長、議会運営委員会が確認したかったのは、小泉一真議員の討論は、賛成であるか、棄権でもあるかをはっきりさせることだったと思います。議会運営委員会としては、議会の許可を得た上で議長から小泉議員へ発言の一部取り消しを求めることになった、と想像します。

議長も、小泉一真議員から、賛成討論は議案に棄権の立場で行った部分の削除を求める、という一言が欲しかったと思います。

しかし、小泉一真議員が発言を取り消す意思はありませんでした。

そうなると困るのは議長です。小泉一真議員に質疑の機会を認めたのは、通告にあった賛成の立場における討論です。賛成討論としての立場が賛成と棄権の考えを二つ表明されては、通告書にない質疑を認めることになってしまいます。

(会議録に掲載しない事項)
第80条 前条の会議録には、秘密会の議事並びに議長が取消しを命じた発言及び第65条の規定により取り消した発言は、掲載しない。

議長は通告にそぐわない内容の発言の取り消しを命じ、議事録に掲載しませんでした。
※ただし、議事録の原本には発言は記載され、議長が取り消しを命じた部分がどこであるかがわかるよう、記録は残っています。良い意味でも悪い意味でも発言がなくなるわけではありません。

個人的には、賛成派も反対派いずれの議員も、今回の出来事への対応は苦慮されたのではないかと思います。

自分としては、小泉一真議員ご本人が、今回のご自身の行動が賛成派、反対派議員に与えた影響をどのように考えているか、当面様子(ブログの記事)を見守っていきたいと思います。

追記
知りたいのは、小泉さんの行動が下のいずれかに該当するか。
A 当初は賛成の考えであったが、通告後に採決を棄権すると考えるに至ったのか。
B 当初から採決は棄権する意思のもと、通告を行ったのか。
C それ以外