文化財防火デーの季節です

毎年1月26日前後に、集中的に文化財に指定された建造物の防火訓練の様子がニュースで配信されています。「地方公務員拾遺物語 別館」でも取り上げていました。

文化財防火デーの制定は、昭和24年1月26日に、現存する世界最古の木造建造物である法隆寺奈良県斑鳩町)の金堂が炎上し、壁画が焼損したことを契機としています。
この事件は国民に強い衝撃を与え、火災など災害による文化財保護の危機を深く憂慮する世論が高まり、翌昭和25年に文化財保護の統括的法律として文化財保護法が制定されました。
その後,昭和29年11月3日に法隆寺金堂の修理事業が竣工し,文化財保護行政も確立するとともに,文化財保護思想の一層の強化徹底を図るために普及啓発事業が行われるようになりました。その一環として,法隆寺金堂の焼損した日であること,1月と2月が1年のうちで最も火災が発生しやすい時期であることから,昭和30年に,当時の文化財保護委員会(現在の文化庁)と国家消防本部(現在の消防庁)が1月26日を「文化財防火デー」と定めました。以来,毎年この日を中心に,各都道府県教育委員会,各消防署,文化財所有者等の協力を得て,文化庁消防庁が連携・協力して全国各地で防火訓練などの文化財防火運動を展開しています。
文化庁ホームページより

文化庁消防庁が連携・協力なんですよね。

【消防法】
第8条 学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店(これに準ずるものとして政令で定める大規模な小売店舗を含む。以下同じ。)、複合用途防火対象物(防火対象物で政令で定める2以上の用途に供されるものをいう。以下同じ。)その他多数の者が出入し、勤務し、又は居住する防火対象物で政令で定めるもの*1の管理について権原を有する者は、政令で定める資格を有する者のうちから防火管理者を定め、当該防火対象物について消防計画の作成、当該消防計画に基づく消火、通報及び避難の訓練の実施、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備、火気の使用又は取扱いに関する監督、避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理並びに収容人員の管理その他防火管理上必要な業務を行なわせなければならない。

実は消火訓練実施の義務は、消防法に基づきます。つまり、文化財に指定されているからといって、1月26日前後に実施しなければならないというものではありません。実際に夏に消防訓練を実施している自治体もあります。火を出さないことが一番なんですが、実際に火が出た場合を想定して対処方法を研究・訓練するならば、毎年違う時期に実施しておくほうがいいのかなぁと思う部分もあります。

正直、「夏場の訓練のほうが参加していただく方々への負担は少ないんじゃないか*2」「何も真冬に放水訓練しなくても」と思いつつ、「やっぱこの時期にやると身が引き締まる」という関係者一同の声に支えられ、今年も無事訓練を終えました。

*1:消防法施行令第6条 別表1(17)で文化財に指定された建物が定められている

*2:河川やため池等自然水利から取水すると、水の臭いがキツイというケースもある。しかし、訓練終了後のシャワーとアルコールの誘惑(以下、自粛)