考古調査士の資格申請や認定は大丈夫か?

 考古調査士資格認定機構が行う考古調査士の資格認定。2008年度は3月に申請手続きが示されたが、今年度は9月28日の時点で「2009年度の資格申請につきましては、今しばらくお待ちください。」というアナウンスがあった状態である。

考古調査士資格認定機構は、考古調査士資格申請に加盟する全国の大学・研究機関共通の統一的な資格審査・授与機構の組織です。


 10月12日に朝日新聞の記事に埋蔵文化財に関する資格制度について掲載されているので、なにかしらの動きを機構としても見せてもいいとは思う。さすがに昨年かぎりで今年になって認定証を出しておしまい、ということはないとは思うが。

 加盟大学では考古調査士の養成に必要なコースとカリキュラムが社会人向け、学生向けに設置されている。少なからずの者たちがこの分野を目指して学んでいるわけだし、中には資格認定見込みで就職活動を行っている者もいるかもしれない。




 サイトを見ていて、出身大学が考古調査士のカリキュラムを設けているのを知り覗いてみた。

身に付けた専門性を生かして、教育委員会などで埋蔵文化財などの発掘や研究に携わったり、博物館や資料館の学芸員になる人も少なくありません。

 厳しいことをいうが、埋蔵文化財などの発掘調査や博物館の学芸員になることができる者は少ない。十数年前のとある大学の2学科の卒業組180人のなかで新卒で専門職員として採用されたのは0人。1年から3年程度、臨時職員や他大学の大学院へ進んでからようやく就職できたのは片手の指程度だ。
 もっとも専攻の学生でその道で就職を希望する者が元々少ない上に数名でもいまだに生き残っているほうがすごい、かもしれない。


 ページの末尾に卒業生就職先一覧が載っていて、自分の自治体の名前があった。うちの自治体でこの学部出身は自分しかいないから、まず自分のことを指しているんだろうけど、よくもまあ調べたもんだと感心した。担当教授には嫌われまくった存在だったので、このことを知ったら削除するんだろうな、と少し複雑だった学生時代につい思いをはせた。


 行政に置く身としては、埋蔵文化財行政に資格を持たせるという考え方にあまり賛成ではない。埋蔵文化財に関しても土木や福祉と同様の行政行為を行うに過ぎないからだ。発掘調査業務がアウトソーシングが比較的多い東京近辺の自治体であれば、不要な資格かもしれない。
 行政自らが発掘調査を行う場合に限り主任技術者に必須でいいかもしれないが、主任は届出だけで技術補助員(配置転換された教員)が現場を運営するような形では、調査の質の向上にはつながらない。
 県レベルでしか目がむかないが、むしろ既存の職員の多くが40歳を超えるなか、20歳代の職員が存在しない自治体がほとんどだし、県の担当者も四捨五入すれば30歳は誰もいない状態だ(ちなみにうちは30歳台が2名もいる稀有な自治体)。資格云々よりも、まずは若い職員を確保することが先決に思えて仕方ないのだが。