2009年シンポにおける埋蔵文化財の資格制度論議に対する雑感


 ここ数年、大学・民間の一部を中心に進められている埋蔵文化財の資格制度。



 5月末に協会のシンポジウムが開催されていますが、個人的な雑感としては、埋蔵文化財保護『行政』と民間会社による埋蔵文化財保護『業務』の区分け、大学などでの講義と実務経験を併せた資格制度という文化庁の方針に興味はあります。

 ただ行政に身をおく者としては、当該資格がなければ埋蔵文化財保護行政に携わることができないこととなるのではないかと考えています。だとするならば、自治体が埋蔵文化財行政を実施しようとした場合、資格を有する専門の担当職員を配置しなければならないことを意味します。

 一方で、埋蔵文化財保護行政の根幹は、私有財産権の行使を規制することを目的とした行政行為であり、法令に基づく行政行為の多くが特別な資格なしに行うことができることから、国として埋蔵文化財保護行政を有資格の設置を努力目標であれ方針とすることが適切なのかという点に疑問があります。