文化財保護法の一部改正

地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律で、文化財保護法の一部が改正されましたね。

文化財保護法の一部改正)
第十条 文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)の一部を次のように改正する。
第九十九条第二項を削り、同条第三項中「第一項」を「前項」に改め、同項を同条第二項とし、同条第四項を同条第三項とし、同条第五項を同条第四項とする。


改正前の文化財保護法第99条はこちら。

地方公共団体による発掘の施行)
第99条 地方公共団体は、文化庁長官が前条第1項の規定により発掘を施行するものを除き、埋蔵文化財について調査する必要があると認めるときは、埋蔵文化財を包蔵すると認められる土地の発掘を施行することができる。
2 前項の規定により発掘を施行しようとする場合において、その発掘を施行しようとする土地が国の所有に属し、又は国の機関の占有するものであるときは、教育委員会は、あらかじめ、発掘の目的、方法、着手の時期その他必要と認める事項につき、関係各省各庁の長その他の国の機関と協議しなければならない。
3 地方公共団体は、第1項の発掘に関し、事業者に対し協力を求めることができる。
4 文化庁長官は、地方公共団体に対し、第1項の発掘に関し必要な指導及び助言をすることができる。
5 国は、地方公共団体に対し、第1項の発掘に要する経費の一部を補助することができる。


今回の改正では地方公共団体による発掘の施行に関することの一部が改正(削除)されました。

実は改正された第99条の前、第98条では、国による発掘の施行について位置づけています。文化庁長官による発掘の施行の対象を「歴史上又は学術上の価値が特に高く、かつ、その調査が技術的に困難なため国において調査する必要があると認められる埋蔵文化財」とした上で、発掘を施行しようとするときは「文化庁長官は、あらかじめ、当該土地の所有者及び権原に基づく占有者に対し、発掘の目的、方法、着手の時期その他必要と認める事項を記載した令書を交付しなければならない」としています。


改正前の第99条第2項では、その土地が「国の所有に属さないものし、又は国の機関の占有するものではないとき」の取扱いについて不明確だった部分を残していました。土地の所有者・占有者にかかわらず、地方自治体は発掘調査の施行することができることになりました。


以前から実務(地方自治体が発掘調査をする場合)においては、当該土地の所有者及び権原に基づく占有者に対し、発掘の目的、方法、着手の時期その他必要と認める事項を記載したものを、あらかじめ事業者と取り交わしていますが、そのあたりも地方自治体で規定しておく必要もありそうです。

発掘を施行しようとする際の手続は地方自治体で定めるべき、というところが『地域主権改革の推進』で取り組む主意・・・。(なのか?)