「収集」と「保管」の認識

日本考古学協会がこれまでに寄贈を受けた図書類の扱いについて。こっちも悩ましい。

日本考古学協会所蔵図書については、2009年5月の第75回総会で承認された「一般社団法人日本考古学協会所蔵図書寄贈先募集要綱」にしたがって一括寄贈先の公募を行い、応募のあった英国のセインズベリー日本藝術研究所(Sainsbury Institute for the Study of Japanese Arts and Cultures)に寄贈することを、本年5月開催の第76回総会で報告し、承認されました。

所蔵図書の一括寄贈について 所蔵図書の一括寄贈について

セインズベリー日本藝術研究所への寄贈を反対する意見(緊急声明:第2考古学 2010 緊急声明:第2考古学 2010)や提言を含んだ意見( 報告書海外流失問題 - 随想…(新鬼の城のジオログ)  報告書海外流失問題 - 随想…(新鬼の城のジオログ))等があります。個人的には、これまでに寄贈を受けた図書類の扱いについては、協会の資料収集の方針と蔵書管理の方針に基づき「収集・公開・処分」すればいいと思います。



ただに2006年の第72回総会で報告・承認されているという報告書等の受入れの方針、これは知りませんでした。(こっちが本題)

今後、遺跡発掘調査報告書等の収集は行わない

今後、遺跡発掘調査報告書等の収集は行わない


まあ、他部署で暮らしていた時期だったけど、マジィ、知らなかった(汗。


でもよ、その時期だって、それ以降だっても、協会に発掘調査報告書を送付しても送り返しはしてきていないし、「今後発掘調査報告書の送付は不要です」という連絡はなかったよな。


加えて、収集の方針の動向についても示されているんですが、

また、今後の図書収集をどのように行っていくかという課題は、単に図書の収集に留まらず、セインズベリー日本藝術研究所と本協会の相互協力をどのように進めるかという視点で検討していきたいと考えています。

これまでは協会が学術・研究機関であり、研究者に対して調査・研究の機会を確保しているという理由で当方では協会に図書を無償で提供していたんですけど、協会の主たる構成員の大半が利用が困難な海外で図書を保管となると、どうしましょ。行政機関としては、協会が今後遺跡発掘調査報告書の収集を再開しても、この団体が広く研究者への調査・研究に資する活動を行っていると言い切れるかどうか、疑問はあります。これは利用実態ではなく、あくまでも運用体制として適切な体制を有するかどうか、という点なんですけどね。
また、協会の今後の収集方針についても、セインズベリー日本藝術研究所の収集方針に従い、協会が日本国内で図書の収集活動を行う、といことになるというのであれば判断は変わるんじゃないのかなぁ。

最初の話に戻りますが、考古学協会が数万点の報告書および関連図書を、ほとんどの研究者が閲覧しがたい海外に持っていくと考えるか、海外の研究者にも機会を与えると考えるか評価が別れるとは思いまが、協会の主張どおりに寄贈を行うのであれば、現段階で海外に寄贈するのは協会の収集の方針に沿わない遺跡発掘調査報告書のみ、なんですよね。収集の対象である学術書・研究報告は処分(寄贈)の対象外、だよねと部外者ながら心配