文化的景観を文化財保護条例に位置づけている自治体

 靹の浦に関する景観訴訟のときに整理しておかなければ、と書いていて放置していた文化的景観。平成16年5月28日改正、平成17年4月1日施行の文化財保護法から文化財保護法第2条に加えられた定義(第2条第5項)です。

文化財の定義)
第2条 この法律で「文化財」とは、次に掲げるものをいう。
1.建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で我が国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの(これらのものと一体をなしてその価値を形成している土地その他の物件を含む。)並びに考古資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料(以下「有形文化財」という。)
2.演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所在で我が国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの(以下「無形文化財」という。)
3.衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習、民俗芸能、民俗技術及びこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で我が国民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(以下「民俗文化財」という。)
4.貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺跡で我が国にとつて歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園、橋梁、峡谷、海浜、山岳その他の名勝地で我が国にとつて芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で我が国にとつて学術上価値の高いもの(以下「記念物」という。)
5.地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないもの(以下「文化的景観」という。)
6.周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的な建造物群で価値の高いもの(以下「伝統的建造物群」という。)

 地方の関係は、文化財保護法地方公共団体の条例制定に根拠を与える条文が規定され、文化財保護法第2条で規定されている分野のうち、国が指定している案件を除く対象について指定する、という考え方のハズ。
 改正しない事情は各自治体によって異なるとは思いますけど。

 ちなみに平成11年に定義された第2項第6項の伝統的建造物群についても、地方自治体のなかには文化財保護条例のなかで定義していない自治体もあります。